地球の裏側のブラジルでも人気
――2025年はアメリカのNucleus Galleryでも個展がありましたね。
駕籠 ポートランドとサンフランシスコに店舗があって、僕は両方とも2回ずつやっているんです
けど、まだ現地には行ったことがないんです。2027年にも予定しているので、次回は行くかもしれません。アメリカにはSacAnimeというイベントで2回行きました。
――そこでもコミッションをされて?
駕籠 基本的に似顔絵ですね。サインも書きます。
――アメリカのファンの方々は普段なかなか会えないこともあって、質疑応答など熱心にされる印象です。
駕籠 さっき言ったようなエログロについてのことはよく訊かれますね。「なんであなたは作品の中でエロティックなものを描くんですか?」みたいな。僕の場合は自主的にエロを描いたんじゃなくて、エロマンガ雑誌に載せるために必要だからエロを描いてたんだけど、アメリカってそういうエロマンガ雑誌の文化がそもそもないんですよ。だから日本にはエロ漫画雑誌っていうものが毎月出てて、メジャーな漫画誌に比べると載せやすいんだけど、その代わりエロシーンを絶対入れなきゃいけないみたいな制約があるからエロを描くんだよ……っていうのをまず説明しなきゃいけないんだけど、あれはなんとかならんのか。
――そこの前提は難しいので、これからも訊かれ続けるでしょうね……!
駕籠 なんかすごいエロにこだわりがある作家みたいに思われてます。あとわりと社会風刺的なものをよく描くので、社会性のある漫画家だと思われてるらしくて、「社会的に主張したいものは何ですか?」って訊かれるんですよ。特にヨーロッパではかなり訊かれます。
――ヨーロッパと言えば、スペイン語ではカゴがうんこだと聞きました。
駕籠 そうらしいです。うんことか、うんこするとか。
――いいですね。
駕籠 英語だとうんちを「カカ」と言います。
――かわいいですね。すみません、スペインの話に戻るんですけど、スペインのコミックイベントにも行かれてますよね?
駕籠 スペインは本国ではなくてカナリア諸島で開催されたLA LAGUNA ES COMICに行きました。なぜかそこで漫画イベントやってて、あんまり規模は大きくないですね。トークショーがあって、展示ブースがあって、個人なのか出版社なのかちょっとわからないですけど販売ブースみたいなのがあって。ただスペインって昼から夕方までシエスタでガッツリ休むんですよ。
――あ、本当にシエスタってあるんですね。
駕籠 昼過ぎに行っても人が来ないんですよ。
――みんな休んでるんですね。
駕籠 僕もブースで似顔絵やったんですけど、夕方以降まで人が来ない。その代わり夜は22時くらいまでやってたのかな。
――遅いですね。
駕籠 スペインでも都市に近いところは昼間もちゃんと働くんですけど、南のほうとかリゾートに近いところはかなり昔ながらのシエスタが残っていて、そういえば去年ギリシャのクレタ島にも行ったんですけど、やっぱり夕方まで人が来なかったですね。
――ギリシャ! またどういう経緯で?
駕籠 ギリシャのアテネでマニアックな本屋をやってる人が僕を呼んで、クレタ島のイベントでは似顔絵のほかにトークショーもやったかな。その後にアテネのその本屋さんまで移動してサイン会をしました。コミックイベントって世界中にあるんですよ。ちなみに初めて海外でイベントやったのはオランダでした。
――オランダ!
駕籠 さっきの『VICE』の表紙を見た靴屋さんの店長が個展をやらないかと声をかけてくれて。
――靴屋さん!
駕籠 店内にアートを飾ってある靴屋さんで、その時はまだ翻訳本も出てなかったので、日本の出版社から日本語版を仕入れて販売したんですよ。それにサインしたり、絵をプリントしてパネルにしてもらったり、その時はあんまり売れなかったみたいですけど。
――でも初めてなので思い出深いですね。オランダも遠いですけど、地球の反対側、ブラジルでも翻訳本が何冊も出てますよね。しかもハードカバーで豪華です。

最近では、イタリアのコミック雑誌『La fine del mondo』の2号の表紙を担当。
