陰謀論で大躍進した参政党
これも何かの陰謀なのだろうか。7月に行われた参院選は自公が過半数を割り込む大敗を喫し、新興勢力が大きく議席数を伸ばした。中でも大きな注目を集めたのが参政党だ。
投票前から台風の目となっていた参政党は、主に政治に詳しくない若年層や無党派層を中心に支持を集め、最終的に14議席を獲得する大躍進を遂げている。
とはいえ、参政党の実態を深掘りしていくと不安しかない。一見するとマトモな政党に見える参政党だが、一皮むくと国益のために国民の権利を制限し、天皇を中心に一つにまとまる平和な国という前時代的な極右思想と、陰謀論に染まった怪しげな思想がベースにあるからだ。
「参政党は極右思想と陰謀論をミックスした思想が政策のベースになっており、海外メディアも『陰謀論のポピュリスト極右』と報じています。極右はまだ理解できるのですが、陰謀論への傾倒はさすがに恐怖しかありません」(政治評論家)
参政党は2022年の参院選で初の議席を獲得して以降、中心人物である神谷宗幣事務局長を中心に、自前のSNSやYouTubeチャンネル、党員ネットワークを通じて怪しい言説を継続的に発信し続けてきた。
たとえば選挙のキャッチフレーズにしていた「日本人ファースト」も、根底にあるのは陰謀史観で歪んだ歴史観だ。神谷の著書『目覚めよ日本人』や公式YouTubeチャンネルには頻繁に「ディープステート」というワードが登場する。曰く、「日本は財務省、メディア、教育機関が連携して日本人の精神性を破壊しており、その背後には米国やグローバル資本がいる」のだそうだ。
こうした陰謀史観から生まれたのが「GHQが戦後日本に自虐史観を植え付けた」「教育勅語を復活させるべき」「戦後民主主義は洗脳」といったカルト宗教の教義のような主張で、これが堂々と選挙公約や街頭演説にも盛り込まれてきた。
また、結党時から掲げてきた強烈な「オーガニック信仰」も看過できない危うさを孕んでいる。この思想は「無農薬・有機栽培こそが人間本来の健康を保ち、日本の農業を守る道だ」とするもので、農業技術や食品添加物、遺伝子組み換え技術などへの過剰な拒絶反応と結びついている。その結果、参政党は、「日本の食品は毒だらけ。政府と企業が国民を病気にしている」「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は不妊を引き起こす」といった主張を展開してきた。話題になったこれらの発言は、決して失言や説明不足ではないのだ。