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二村ヒトシインタビュー「AV新法改正活動は人権とエロ表現の自由と女優さんたちの労働環境を守るための戦いなんです」

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ディストピアな未来にしないために

「いちばん悪い方向に転がったら、本番禁止のお達しが出ることもありえる。これは我々にとって悪いというより、世の中にとって悪いと思いますよ。ユーザーも出演者も確実に非合法ポルノに流れる。そうなったら我々業者はどうするんだろう。

日本の合法AVは、とにかくずっと性器をモザイクで隠し続けてきました。だからこそ様々な工夫が生まれ演出が進化してきたんだと思ってます。現在の適正AVの高度な女優力と演出力で、挿入も性器接触も一切なしで、どれだけエロいものが撮れるかな。いやらしいキスだけで本当にとろけていき、乳首責めだけでオーガズムを迎える女優の表情とかね……。」

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「本番禁止になったらなったで、そうやって我々はまた浮世離れしたことをきっと考えるんですが、現実問題としてAVは出演者が存在しないAIが作る未来になっていくんでしょう。ひとつの職業が滅びるわけです。しかしそれでも生きてる人間のセックスを見たい人と自分のセックスを見せたい人は、まだしばらくは消滅はしないと思いますよ。

合法的にやりたい人までがアンダーグラウンドに追いやられることになりますが、どうあってもエロを禁止したい人たちは、そうなったら今度は海外サーバーへのアクセスも規制する法律を作るんですかね。いたちごっこで、どんどんディストピアになっていきますね。誰も幸せにならない。そんな世の中にしないために、いま、AV新法を改正させましょう……!」

制度アナリストの宇佐美典也氏は『AV新法署名呼びかけコラム』というポストを度々Xに投稿しているが、そのなかで「AV配信・流通の巨大プラットフォームは自民党と談合し、AV新法が現行で制定されることによる利権化を進めようとしています」と指摘している。

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その利権により窮地に立たせられることになるのが、制作側のメーカーおよび出演者なのだという。というのも現状、AVの売り上げの7割は配信および流通が得る仕組みで、残り3割が製作費となる。それで出演者を含めた制作関係者すべての労働対価やスタジオ代といった費用をまかなっているのが実情であり、出演する女優がいないと成り立たないにも関わらず彼女たちの手に渡るのは2%程度だという。2000円の作品が売れたうちのたった40円、これを出演女優に対する適正なギャランティーとしていいのか、議論の余地があるのは確かだ。

日本のAVの未来はどうなるのか。今年の6月にその分岐点がくることは間違いない。

 

取材・構成/大泉りか
撮影/岡崎たかお
初出/実話BUNKAタブー2024年5月号

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