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轟太一(『虎に翼』の登場キャラ):サムソン高橋「ハッテン場から愛をこめて」連載10

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ただ、視聴者の一ゲイとしては、勇気づけられるというよりも、かなりこっ恥ずかしくなってしまったのも事実。轟とパートナー、そして彼らの友人ゲイカップルとトランスジェンダーを囲み、ドラマの主人公の寅子と事実婚相手がおにぎりを作りながら語り合うシーン。舞台となった1960年にこの状況はありえない。昨今のLGBTとアライ(理解のあるノンケ)の小賢しいパーティを移植して漂白しただけだ。

『虎に翼』自体、過去を通じて現代を描くという手法のドラマなので、この違和感は想定済みだろう。NHKの朝ドラで戦後ゲイシーンの魑魅魍魎を描写するのもかなり無理がある。ちなみにこのドラマで同性愛者を扱ったとき、それに対する言葉は何もなかった。当時「ゲイ」は使われてなかったし、「ホモ」「オカマ」は侮蔑になる。存在を描こうとした結果言葉が消されてしまったのである。

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悪いドラマではない。しかし、落ち着かない。そんな気分になったのは、何よりこれが「正しいマジョリティ」の視線で作られたものだからなのだろう。そして『虎に翼』自体が恵まれた知的エリートが闘う物語であり、それは現代のリベラルが私のような底辺の弱者に疎まれる大きな理由でもあるからだ。

 

ジャニー喜多川:サムソン高橋連載1
鳥羽周作:サムソン高橋連載2
山川純一:サムソン高橋連載5
松本人志:サムソン高橋連載6
大谷翔平:サムソン高橋連載7
頂き女子りりちゃん:サムソン高橋連載8
『ボーイフレンド』の出演者:サムソン高橋連載9

PROFILE:
サムソン高橋(さむそん・たかはし)
鳥取県出身。ゲイ雑誌『SAMSON』 編集部で編集者およびライターとして勤務し、同社の『SAMSON ViDEO』も制作。2002年に退社。その後はフリーライターとして活動。能町みね子と同棲生活をしている。主な著書に、『世界一周ホモのたび』(ぶんか社)シリーズ。
twitter:@samsontakahashi

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