直接関係はないが、これらの講演で長谷川氏が発言している「女は三歩下がって歩けというのは三尺の間違い。これは武家階級の話で、3尺以内は刃先が届く範囲だから誤って嫁を斬らないようにするための格言。女性差別ではない」という話は単なる最近作られた俗説で専門家に否定されている。ここから、江戸時代は治安が悪いという話に繋がっていくわけで、犯罪集団云々もこの話をより面白くしようとして思いついたのではないだろうか。
とりあえず人権意識は低い
2017年に「【長谷川豊】『60歳以上の選挙権はく奪』を真剣に検討してみる」という記事(現在は消えているようだ)が炎上した際は、自分はこういう意見もあるということを紹介し、議論の俎上にのせようとしただけであるという反論をし、自分はどう思うのかと聞かれると、自分は今の段階では賛否どちらでもないと、IWJからの取材で発言している。
ブログでの「8割がたの女ってのは、私はほとんど「ハエ」と変わらんと思っています」という発言に関しては特に反論せず、煽りめいた反応だったので、これは本当にこう思っているのかもしれない。
細かい発言をあげだすとキリがないのでこの辺で。
なんというか、まず話題になるため(本人は活発な議論の俎上にのせるためであるとすることがあるが、真偽はわからない)に炎上狙いで暴論をいう傾向のある人物であるというのは置いておいても、色々気になるところはある。切り取りであるかのような主張で反論することが多いが、確認してみると切り取りでは別にないことが多い。詭弁と思えてしまうような反論も多い人である。実際に問題となっている部分には答えず、ズレた反論をする傾向もある。事実ではないことを話していることも多い。また、細かい発言を照らしあわせていくと、何かに対する評価(例えばWHOに対するもの)が首尾一貫しておらず、その場その場の都合で発言している節もある。話題になるためにする発言が人権意識の低いものであるのも確かで、それを悪いことは思っていないだろう。
これらが意図的におこなわれているか、本当にそう思っているのかは他者が明確な結論を出すのは彼の内心に関することなので不可能だが、不誠実なのか、認知能力が原因なのか、どちらにしろ問題がある。
こういったことから考えると、フジテレビ問題に関する発言も即座に全て事実であるかのように受け取るわけにはいかない。注意が必要である。
たとえ事実であったにしろ、このようなタイプの人を過剰に持ちあげ、利することは危険なことだと私は思う。誰だって本当のことや、ためになることを言えるわけで、その場で自分に都合がいい発言をしたからといって、その人の人物像・その発言の目的を把握しないで支持してしまうのは本当に危険なことだ。そこは忘れないようにしないといけないことだと思う。
〈金曜連載〉
画像/2013年7月14日・『映画『生贄のジレンマ』公開記念舞台挨拶
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「パチンコと選挙は勝てるゲーム」立花孝志インタビュー【前編】
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兵庫県知事選の様子がおかしい:ロマン優光連載316
PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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