中学の先生がいじめを止めていれば何かが変わったかもしれないが、それは成されなかったのであろう。
中学の卒業アルバムには「私は限界を知らない」と万能感を得ているような言葉を残している。高校卒業後は化粧品メーカーに勤務するもすぐに辞めて、旭川のニュークラブでキャストとして働き出す。仕事後も歓楽街を飲み歩き、酔って吐き出すのは人の悪口かイキリ。気分を害してキレると「さらうぞ!」とイキっていたという。
自分は絶対に捕まらないという根拠ない自信からなのか、大麻の売人だったというのも有名な噂だとか。知人や知り合いのSNSの内容を見て「言葉の使い方に気をつけろ!」と難癖を付けた上で「許してほしければ現金をよこせ!」と呼び出すといった、月さんにやったのと同じ恐喝をくり返していたという話もある。
小学生の時にはクラスのヒーローだった女子がどうしてこうなってしまったのか? ちなみに共に容疑者となったA子も小学校の卒業文集に「友達が大切だ」と書くような子だったのに中学では先生に「死ね」と暴言を吐いて学級崩壊させるようなトラブルメーカーになり、高校ではアパートの空き部屋に仲間と勝手に入り込んで酒盛りするような人間になってしまったと同級生たちは語っている。
彼女たちを変えたのは何なのか? 親なのか? 先生なのか? 環境なのか?
その元凶が垣間見える事件がある。
旭川少女いじめ凍死事件。
2021年3月下旬、旭川市内の公園で解け始めた雪の中から少女の遺体が発見された。
市内に住んでいた中学2年生、廣瀬爽彩さん(14歳)だった。
同年2月13日、爽彩さんの母親は17時頃に1時間ほど家を空けなければならず、出る時に娘が言った「気をつけて行ってきてね」が最後の言葉となってしまった。
家を空けたわずか1時間余りの間に爽彩さんは行方不明になる。その日、18時の気温は氷点下17度。必死で探したが居場所はわからなかった。警察が捜索しても見つからず。親族とボランティアが協力してビラを1万枚用意しての大捜査も行ったが、見つけることができなかった。
そして失踪から38日たった3月23日、自宅から数キロ離れた公園で雪の中から遺体で発見されたのである。