なるほど、確かに財務省には多くの問題が指摘されており、国民に負担を押し付けようとする国の政策に不満が募っていることも事実だ。とはいえ、財務省解体という結論はあまりに薄っぺらで短絡的すぎるだろう。
デモでは「財務省を解体すれば増税路線が止まり、国民の負担が減る」といった主張が柱になっている。しかし、それだけで問題がすべて解決するほど国の経済は単純ではない。財務省解体が現実的な解決策にはならないことは、少し頭を使って考えれば誰にでもわかるはずなのだ。
解体は現実的解決策ではない
そもそも財務省は政策の決定権を持つ機関ではない。確かに国の予算作成などを担当する最強官庁ではあるが、言うまでもなく決定権を持つのは国会だ。仮に財務省が解体されたとしても、最終的な判断を下すのは国民が選挙で選んだ国会議員である。
また、財務省を解体すれば、代わりにその役割を担う省庁を創設するか総務省や内閣府といった他の省庁に分割することになる。
日本の予算編成は財務省が中心となって行われているが、財務省ほどの専門知識を持つ機関は他になく、円滑な財政運営ができなくなることは目に見えている。
一部のデモ勢力は解体ではなく「歳入庁、歳出庁」に分割すればいいと主張しているが、これも問題の根本的な解決にはならない。確かに分割すれば権力の集中は薄まるが、解体によって増税や財政運営の方針が劇的に変わるわけではないからだ。
「財務省の解体は政治の仕組みを変えることにはならず、むしろ新たな混乱を生む可能性が高いといえます。例えば過去には郵政民営化によって財政赤字の削減が期待されましたが、結果として日本郵政の民営化後も国の借金は増え続けました。これは省庁の組織改革だけでは財政問題の解決にはつながらないことを示しています」(前出・週刊誌記者)
また解体、分割などの再構築にも膨大な時間とコストがかかるうえ、金融政策が混乱すれば国債の信用低下や金利上昇といったリスクも生まれてくる。現在の日本の経済状況を考えれば到底、そんな余裕はないだろう。