さらに、参院選期間中の街頭演説で「連立与党に入ることも考えていきたい」と述べるなど、連立拡大を一つのチャンスとみているのは間違いない。8月には自民党の麻生太郎最高顧問(85)と国会内で会談するなど、動きをみせている。このほかにも、無所属議員からなる有志の会(衆4)や、チームみらい(参1)などの動向も注目されている。
一方、最大野党の立憲民主党は、参院選で現有の22議席の維持にとどまり、比例票でも国民民主党、参政党の後塵を拝した。野田佳彦代表(68)は続投するものの、9月に新執行部が発足した。だが、党内でも期待感は薄い。
「幹事長に安住淳元財務大臣(63)が起用されるなど、民主党政権時代の“いつもの顔ぶれ”です。唯一といっていい抜擢人事が、本庄知史政調会長(44)と渡辺創広報本部長(49)の起用です。ともに優秀ですが、それぞれ岡田克也元外務大臣、枝野幸男元代表と近く、その“名代”という意味合いが強い。党勢の回復につながるとは全く思えません」(若手議員)
そもそも参院選の結果をみれば、野党が一致結束して、政権交代を迫り、民意を受けた消費減税などを実施すべきだ。 しかし、いまの野党には、多くの政党をまとめる、かつての小沢一郎のような実力者もいないし、その気概もない。いざ政権を任されたら困るとビビっているのだ。
その一方で自民党は政治とカネの問題などでこれだけ追い込まれても、呑気に総裁選をやっている。国会をひらかず、政治空白をつくっているが、それはもっとダメダメないまの野党のせいだ。
冒頭に戻ろう。今後の連立戦略について、自民党の閣僚経験者は筆者にこう続けた。
「参院は3人足りないだけだから、“一本釣り”もありえる。野党に所属していても、自民党でやるために出て行きたいという人がいるからね。まずは、参院だけでも過半数を回復できれば、予算審議などもずいぶん楽になる。ただ、どうにか今年いっぱいかけて、連立拡大への道筋をつけて、来年度予算の本格的な審議を前に、衆参ともに過半数を回復できる状況につくらなければ、根本的な問題は解決しません」
10月4日に決まる新総裁の下で、連立拡大の議論は佳境に入る。
文/河野嘉誠
初出/実話BUNKA超タブー2025年11月号