連立入りは国民民主か維新か?
「野党の連中とも、年末頃までにある程度の方向性が決っていけばいいなと話している」
与野党のパイプ役となっている自民党の閣僚経験者は、筆者の取材にそう話した。自民党が衆参で過半数割れする中、10月4日に決まる自民党新総裁のもとで、連立枠組みの拡大に向けた動きが本格化するのは間違いない。いまや政局のキーマンとなった国民民主党の玉木雄一郎代表(56)の動向を中心に、野党の動きを探った──。
「二大政党制を目指す時代から、多党化の時代へと変わった。新興政党が乱立し、いまの選挙制度では、もはや一つの政党だけで、衆参ともに過半数を維持する状況は二度と来ないと考えている。国民民主党の果たす役割は大きくなってきている」
参院選直後に都内で行われた講演会で日本政界における“不可逆的な変化”について語っていたのは、国民民主の玉木代表だ。さらに、参院選で公明党も議席を減らしたことから、玉木氏は「公明票に頼りながら選挙区で勝利する」というこれまでの自民党の戦略も変わらざるを得ないとも語った。米国と異なり、日本では未だに新政権発足時の「権力移譲のルール」が定まっていないため、改善が必要だとも指摘した。
国民民主は昨年の衆院選で議席を4倍にし、7月の参院選でも17議席を得た。さらに比例票では760万票以上を獲得し、野党第一党の得票数だった。今や衆院で27議席、参院で23議席を抱える一大勢力となった。
「自民党が連立を拡大する上で、政局のキーマンになっているのが玉木氏です。衆院で35議席、参院で19議席を保持する日本維新の会も、自民党にとっては有力な連立相手ですが、参院選では7議席の獲得に終わるなど党勢が低迷している。9月のNHKの世論調査でも、国民民主の支持率は5.7%なのに対して、維新は3.6%でした」(全国紙政治部記者)
前述の講演会で、玉木氏は、連立争いの“ライバル”となる維新についても言及していた。
「参院選では、過去十数年にわたり、日本の政治をかたどってきた自民党的なもの、そして旧民主党的なものという“既存政党”が否定され、国民が新たな選択肢を求め始めていること明確になった。維新も本来は、その選択肢に入るはずだが、大阪では与党ですし、(結党から)10年たってやはり既存政党とみなされるようになっています」