総裁選で小泉陣営が、ネットへのやらせ書き込みで「ビジネスえせ保守」と例文を表示していたのが高市氏のことではないかと騒ぎになったが、同ベテラン議員は「あながち間違ってはいないのかもしれない」と自嘲気味に話す。
また、高市氏はこれまで強気な保守発言が多かったが果たしてそれを実行できるのか。中国や韓国への強硬姿勢、持論としてきた靖国神社への参拝などなど。
ところが、今回総裁選で高市氏の推薦人になったベテラン議員はこう話す。
「中国に対しては、かつて安倍元首相が首相になったとたん、『首相は思想家ではなく政治家。現実対応として中国とは対話。互恵関係を』と豹変したが、高市氏もこの言葉を完全に真似して、『互恵関係』などと言い始めている。また、今回の総裁選では、首相になってから靖国神社を参拝するかどうかについて明言していない。おそらく靖国神社参拝を棚上げするだろう」
しかし、保守派の支持者がそれを良しとするのか。前出ベテランは「言ったことをやらない。高市氏らしくないと批判の声に変わる危険性は大いにある。首相になって支持率に関わる難しい判断の一つだ」と話す。
このほかにも高市氏のリスクとして、発言の軽さ、激しさを過去何度も繰り返し、しかもその後の撤回や言い訳など危機管理の甘さがある。
高市氏とは距離を置く自民党の女性閣僚経験者は、はっきり「彼女はうそつき」と断罪する。
「去年の総裁選で党員に出馬をにおわすチラシを郵送したが、これはルール違反。高市氏は『知らなかった』と、それで逃れられると見苦しい言い訳をした。全国の党員に配るのにどれだけの手間暇やお金がかかるのか。知らなかったなんて誰が考えてもうそ」
今回の総裁選でも、演説の中で、世論の関心が高まっている外国人問題を、保守らしくアピールできるとばかりに発言したのだが、外国人が奈良公園の鹿を蹴ったり、殴ったりしているなどと熱弁。しかし、公園を所管する奈良公園室が、こうした事実関係は確認されていないとして大問題となった。