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「この漫画のヒロインがとんでもない」サムソン高橋のTOP3

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話の内容。ドブスだが心の綺麗な下女のエリノア。お城のパーティに行けなくて一人泣いていると現れた仙女の手により時間制限付きで絶世の美女になる。パーティーに出かけて憧れの王子様にプロポーズされるが、ふとしたことで本来の姿を知られてしまい(その直前に「顔じゃなくて心に惚れたんだ」と言っておきながら「無理だ! 醜すぎる!」という王子も本当にひどい)、ショックで王子は自殺未遂。エリノアは自分の命と引き換えに王子を助けるという願いを仙女にかなえてもらい、満足げに死亡。シンデレラ+人魚姫+ドブスという救いのないおとぎ話だ。

そして復刻版にて衝撃の真実が語られていた。当時急病にて夭折したとされていた作者の谷口ひとみは、実際は担任教師への叶わぬ恋をきっかけに睡眠薬自殺をしていたのだ。そして写真を見る限り女子高生として普通に愛らしい谷口は、中学のいじめをきっかけに醜形恐怖症になっていたらしい。つまりこの当時としては斬新な『エリノア』も、作者の夢を映す鏡という少女漫画らしい作品だったのである。その夢が、叶わぬ悲恋と醜形恐怖という白黒反転した妄想だっただけで。自分の命と青春を引き換えに純粋さの結晶を世に残した谷口だが、その時期をやり過ごせば名のある作家として大成していただろう。

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以下に取り上げるヒロインもブスで揃えてみたい。奥田亜紀子『ぷらせぼくらぶ』は中学生特有のイケてなさと自意識を異様な解像度で描いた名作だが、主人公の岡ちゃんはそのイケてなさを一身に引き受けた史上最高のネガティヴブス。岡崎京子『ヘルタースケルター』の主人公りりこはドブスからセレブ芸能人に成りあがった史上最強のパワフルブス。この作品を最後に岡崎京子は交通事故による30年の活動休止となるのだが、先の谷口と並んで惜しいことである。

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文/サムソン高橋

画像/『エリノア』(谷口ひとみ/さわらび本工房)

初出/『実話BUNKA超タブー』2025年11月号

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