手代木正太郎氏の『涜神館殺人事件』は超常現象が実在する設定のホラーでありながらも、ちゃんとミステリーのルールも守られている稀有な作品。伝奇ムードにもあふれ、オマージュ先(実在の霊媒師や往年の怪奇小説家や怪奇小説)がわかるとより楽しい作品である。
文学フリマで購入した篠たまき氏の『観音異聞』は氏の長編小説『人喰観音』のスピンオフ短編集。耽美的で陰鬱な、非常にグロテスクかつ美しい作品だ。
『人喰観音』のほうは普通に入手できるので、まずそちらから読んでほしい。
三津田信三氏だと作家三部作シリーズの『作者不詳 ミステリ作家の読む本』が特に好きなのだが、メタフィクション的な手法の作品であり、この作品を編集氏のように最近ホラーに興味を持った人に薦めていいのかどうか自信はない。そういえば、阿澄思惟氏の正体は三津田氏説があるのだが、作品のメタ的な構造とか民俗学的考察は両者に共通するところである。今となってはそういう作品も多いが、説得力が違うというのはあると思う。
編集氏が求めたものが書けたのかどうか疑問ではあるが、まあ、自分が最近面白く読んだのはこういう作品だ。
〈金曜連載〉
画像/『近畿地方のある場所について』(背筋/KADOKAWA)
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N国党立花孝志の海老名市長選選挙ボランティアやってみた
兵庫県知事選の様子がおかしい:ロマン優光連載316
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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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