Lee Myeong jaeのLINE漫画『僕たちはゾンビ』はゾンビが出現した超大型ショッピングモール・Sタワーでそれぞれの理由から出ていこうとせずに共同生活し続ける人たちの生活を描いたコメディ。
登場人物はダメな人・変人ばかりなのだが、キム・ソヨンはその中でも狂暴さが際立っている。
格闘技を学んでいた彼女は弟を溺愛しており、弟をいじめていた連中を殺害。闘争前に弟と訪れたSタワーでゾンビ騒ぎが発生。その際にはぐれた弟を探すため共同生活に参加、後に弟は見つかったが、逮捕されるのでSタワーから出ることは考えていない。
常に手斧を持ち歩いているが、それは対ゾンビ用ではなく、自分たちのコミュニティ以外の他の人間対策。
ちなみに弟は他のコミューンで同年代の子たちとのびのび楽しく暮らしており、姉の重圧がないせいか太っており、姉とは会いたがってなかった模様。
こう書くと非常にハードな怖いキャラのようだが、愛すべき変人たちのモラトリアムな生活を描いたコメディであり、周囲のキャラもひどい性格の人が多く、彼女はちゃんとしているほうなので「よく考えたらこの人はひどい人だ」とたまにしか気付かないのである。
柴田ヨクサル作品といえばエキセントリックな女性キャラの宝庫で『エアマスター』の相川摩季、『ハチワンダイバー』の中静そよとヒロインクラスは置いておいても、崎山香織、中ノ谷美奈、久坂静菜、皆口由紀と枚挙にいともまない。
しかし、その中でもこの人が一番おかしいのではないかと思うキャラがいる。『谷仮面』のヒロイン・島リホコである。
バレーのスパイクの威力がすごいくらいの多少の漫画的な色付けはあるが、島さんは内気な普通の女の子で、クラスのちょっと気になってた男の子に好意をよせられ、なんだかんだあって結ばれただけなのである。なにもおかしなところはない。
しかし、その相手はコンクリートの壁を破壊する怪力の持ち主で常に白い仮面で顔を覆っている、島さん以外の人間に興味を持たず、異常に怒りっぽい性格の超絶エキセントリックな谷くんなわけで、谷くんを好きになってしまうのって、よく考えるとめちゃくちゃ変な人だなあと思うのである。

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文/ロマン優光
画像/『谷仮面完全板』(2)(柴田ヨクサル/白泉社)
初出/『実話BUNKA超タブー』2025年11月号
